研究科長
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「分野融合」による新しい学問を創成しましょう!
金沢大学大学院新学術創成研究科は2018年4月に設立された研究科です。大学院は,大学時代に学んだ専門分野をさらに深く追求して新しい科学・学問を生み出し発展させていくところですが,その方法論として,1つの専門分野を深く掘り下げていく方法と,複数の専門分野の知見を有機的に結合させる方法があります。
新学術創成研究科のポリシーは後者の立場であり,複数の専門分野を融合させる「分野融合」に主眼をおいた大学院課程です。すなわち,分野融合により新しい学問を創ることを目的としています。分野融合の広がりに合わせて,2018年4月に融合科学共同専攻を設置し,次いで2020年4月にナノ生命科学専攻を設置しました。そして,2025年4月には,「総合知」の創出・社会展開を目指す「総合知創出科学専攻」を新たに設置します。
融合科学共同専攻は,人文社会系と理工系,人文社会系と医薬保健系,理工系と医薬保健系など,学問領域を制限せずにさまざまな分野融合を図ることを目的としています。そのため,担当教員の専門分野は考古学,経済学,認知科学,医学,薬学,保健学,物理学,化学,生物学,バイオ工学,機械工学および電子工学と,多岐に渡っています。自分の専門分野を活かしながら他の分野とも積極的に関わり,新しい学問分野や科学技術の創成を目指しています。
ナノ生命科学専攻は,ナノ計測,ナノ材料および生命科学に範囲を絞った分野融合に焦点を当てています。走査型プローブ顕微鏡を用いたナノ計測技術を,超分子創成,細胞イメージングやがん診断・治療に結び付けることに注力しており,世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)拠点である「ナノ生命科学研究所」との密接な連携による教育プログラムを用意しています。
総合知創出科学専攻は,人文・社会科学の厚みのある「知」の蓄積を図るとともに,自然科学の「知」との融合により,あらゆる分野の知見を総合的に活用し社会課題への的確な対応を図る「総合知」の創出・社会展開を目指します。また,データサイエンスやデジタル技術の活用等の充実した教育プログラムにより,デジタルだからこその視点から総合知を多様な業界で展開する高度情報専門人材の養成を推進します。
学生諸君には,専門分野の異なる教員や学生と日常的に交流し,新たな「気づき」と自分の専門分野との融合にチャレンジしていただきたいと思っています。そのために,自分の専門分野とは異なる分野の基礎の勉強や,自分の専門分野とは異なる研究分野でのラボローテーションなど,新たな試みを準備して皆さんをお待ちしています。
さあ,一緒に「分野融合」の世界へ踏み出しましょう!
新学術創成研究科長 坂本 二郎